JMUジャーナルに「第78回定期演奏会を終えて」を寄稿しました

日本マンドリン連盟機関紙”JMUジャーナルNo288″に「第78回定期演奏会を終えて」を寄稿しました。

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【寄稿文】

第78回定期演奏会を終えて

関東支部 川崎マンドリン倶楽部 田畑 弘明

 2020年10月 31 日 (土)、川崎市の高津市民館ホールにて第78回定期演奏会を開催しました。今年は新型コロナウイルス問題が収まりをみせない中での開催でしたので、練習の段階から練習場所のことや部員が集まれるか等々、悩ましい問題を抱えていました。市内の文化活動団体の多くが公演中止を決定するなか、8月になり当部でも定演開催の是非について議論しました。「非公開で開催する」との結論に至りましたが、無観客とはせず関係者のみ入場可として、人数を絞り感染症対策を徹底することで準備を進め、何とか本番を迎えることができました。フルメンバーでの出演は叶いませんでしたが、集まってくれた部員の熱意と練習の積み重ねが本番の成功を導いたものと思います。
 演奏会第1部は、幕開けにアメリカのポピュラーソング「ペンシルベニアポルカ」、続いて山本小菊指揮でイタリア作品を2曲、「ガボットセレナーデ」(アマデイ)と「詩的間奏曲」(カペレッティ)を、後半には市川雅典指揮で「ワルツ2番」(ショスタコービッチ)と「撥弦楽器のための組曲第2番」(ヴェルキ)を演奏しました。
 「ワルツ2番」と「組曲2番」の指揮は、当倶楽部創設者(後述)の音楽家でもあるお孫さんにお願いしました。古典的ドイツプレクトラム音楽の特徴を生かした「組曲2番」を演奏するにあたって、役割の大きいギターパートは何度も熱心にパート練習に取り組み、本番でもその成果が発揮されました。
 演奏会第2部は、北方の寒々としたイメージで構成しました。静寂と躍動です。指揮は小野寺哲義、「犬ぞり」(鈴木静一)ではソリを引く犬の息遣いや鈴の音が耳に残ります。続いて馴染みのあるロシア民謡メドレー(編 武藤理恵)を、最後は「北夷」(鈴木静一)で締めくくりました。例年、「みんなで歌おう」コーナーを設けて来場者のコーラスで盛り上がるのですが、さすがに今 は取り止めました。アンコール曲に「百万本のバラ」を演奏したあと、倶楽部を代表して私がマイクを取り、客席に向かって来場の御礼と来年の定期演奏会の案内をして幕を閉じました。
 開催当日はホールの定員 600 名に対し約 100 名の関係者に来場いただき左右2席空けた状態での着席をお願いしました。少人数ながら、開催にこぎつけた出演者を応援しようとの思いが、暖かい拍手を通して客席から舞台まで伝わってきました。舞台上の各々が開催して良かったとの思いを胸に、全員起立して客席に頭を下げ、終演をかみしめました。来年こそは客席をフルで埋められればと願わずにはいられません。

 川崎マンドリン倶楽部は 70 年を超える歴史があります。国内でも珍しい存在だと思います。1948 年(昭和 23 年)に「川崎市に社会人マンドリン倶楽部を」と故市川昇先生が創設、社会人の団体としては先駆け的な存在でした。大先輩は日本マンドリン連盟の設立や日本のマンドリン音楽界の発展に貢献されました。創設者の教え子たちが各地にいて、現在もマンドリン音楽にかかわりを持たれている方も多いのではないでしょうか。
 「アマチュアのマンドリン団体が現在まで70年も存在し続けているのは何故?」と不思議に感じたらしい新聞記者のインタビューを受けたことがあります。2年前でした。新聞に掲載され た記事の見出しは「市民グループ来月演奏会、マンドリン70年の調べ」となっていました。私が思うに、長い歴史の中でメンバーの入れ替わりはあるものの、もともと家庭的な雰囲気の中で和気あいあいと合奏を楽しむ文化が引き継がれており、何よりもマンドリンやギターが好き、音を合わせることが好きという仲間が集まっている倶楽部なのだと。月2回の練習の後に反省会と称して一杯飲みながら懇親を深める楽しい習慣も、残念ながら今年は自粛せざるを得ませんでしたが、音楽ができる喜びを感じて楽器を担いで練習場に出掛けて行くのです。

 日頃の練習の成果を多くの皆さんに披露しマンドリン音楽を楽しんでもらいたい、そのための定期演奏会で、私達練習の励みにもなっています。選曲はマンドリンオリジナル曲が中心ですが、例年会場に足を運んでくださるお客様も年配の方が多くなり、お馴染みの曲も取り入れながら、「弾いて楽しい、聴いて楽しい」も大事にして、これからも合奏する喜びを味わっていきたいと思っています。福祉施設等へのボランティア訪問演奏なども今年は実現が困難な環境でしたが、状況が許せば積極的に対応していきたいと考えています。しかし、御多分に漏れず当倶楽部も高齢化が進行中、このままでは長年続いた組織も先細りとなります。広報活動にも力を入れてもっと仲間を募りたいと思います。(ホームページ:https://kawasaki-mandolin.com/)